ジョージアの日記という映画を観てきました


恵比寿ガーデンシネマというところで観てきたのですが、東京都内でも上映館がここだけだったのです。自宅から一番遠い東京都内…。

舞台はイギリスのビーチリゾート、ブライトン。
主人公は14歳の少女、ジョージア
登場シーンがいきなり着ぐるみでびっくり。
「オリーヴに包まれた赤ピーマン」の仮想姿。パーティー会場まで車で送ろうとする父親の誘いを「私の最高傑作がつぶれるから乗らない」という理由で断ったつわものだ。
おもしろい子だなあと思う。


同じような仮装をするはずだった仲間は外聞を気にして普通のドレス姿で来ていた。いたたまれなくなったジョージアは泣いて会場から逃げ出す。
家の門の前で「最高傑作」のオリーヴを惜しげもなく足で踏みつぶしていく。
約束を破って自分にだけ恥ずかしい格好をさせた仲間への怒りを爆発させる。
翌朝登校前。
起こしに来た妹の何気ない行為で左眉が半分ほどカミソリの刃の餌食になった…。
眉頭から半分なくなってしまった眉を誤魔化すため、前髪を目の下の辺りまでたらして隠すジョージア
間が悪いというかお笑い担当というか、それがまた本人の悩みの種になっている。


ジョージアは自分の鼻が「木星のように」大きいことをものすごく気にしていて悲嘆に暮れている。
親が固いことも妹が飼い猫と変な遊びをしていることもコンプレックスで何よりも彼氏がいないことが一番の悩みだ。
学校での友人4人組はひとりだけ年上の彼氏もちで他の3人はみんなフリー。
画面上で見るととびきりの美人はいないもののみんなそれぞれかわいらしいなあと思う子達だった。
ジョージアは何をやっていてもどこか間が抜けていてドジでおもしろい。
愛嬌のある面長の顔だ。


この映画の内容を簡単に言ってしまうと「青春時代の甘酸っぱい恋愛」の話だ。
親友のジャスとともに双子の兄弟を好きになり協力しながら近づいていくのだが、順調に目当ての相手と仲良くなっていくジャスを尻目にジョージアの方はなかなかうまく運ばない。
インパクトの強さから存在を覚えてもらえるものの決め手に欠ける。そして憧れの相手にはすでに彼女がいたのだ。
ジョージアがひとめ惚れした男の子は美しくて優しい顔の王子様。名前はロビー。
背も高くがっちりとしていてスタイルがいい。
一方、ジャスが好きになったロビーの2卵生双生児の片割れは細身ですらりとしていて胸からおへそまでのラインがセクシーなトム。
王子様顔の弟とはタイプが違うが面長で色っぽい顔立ちの兄だ。


王子様顔のロビー、とにかく綺麗な顔なので映るたびに観ている自分までうっとり。ほんとうにかっこいい。
トムはトムでスレンダーで色っぽい上半身裸が何度か出てきてこれも観ている方が実に楽しい。
見目麗しい男の子はいいものだ。
映画の内容はジョージアとジャス、ロビーとトムの恋愛模様を中心に描かれていく。
登場シーンからはじめのほうはなんだかあか抜けない印象だったジョージア
話が進んでいくと少しずつ少しずつかわいくておしゃれで綺麗な女の子になっていく。
初めは半分なかった左眉の眉頭もすぐに伸びて時間の経過を知らせてくれる。


10代の女の子達の初々しさとか恋愛への体当たりな無茶ぶりがとてもかわいらしくて少し切ない。
移り変わる髪型や服装。幼さがありながらところどころぶっとんだ発想。
好きな相手とのキスに備えてわざわざどうでもいい相手と予行演習する周到さ。
ディープキスまで練習済みで「キスの達人」とお墨付きまでもらっている。
練習台の男の子を「ネバネバ」呼ばわりするのも笑えた。


ジョージアの3枚目で決まりきらないドジな様子がいい。
憧れのロビーの彼女のリンジーという上級生が女のいやらしさがよく出たキャラクターだったのでなおさら愛しさを感じる。
あんな空っぽな女よりよっぽどおもしろくてかわいいよーと応援したくなったりする。
家族とのすれ違いや友人との諍い、男の子とのうまくいかない恋愛。
ジョージアはあるとき父親の転勤に付き合って引っ越しをする決意までする。
それを聞いたロビーの口から出た言葉は………。


物語の全般に登場するのは憧れのロビーがベースで参加するロックバンド「Stiff Dylans」の音楽。
ときおり映るライヴの様子。
会場内でせめぎあう男女の心のかけひきもおもしろい。
リゾートビーチでの撮影は空や海もとても明るくて綺麗だ。
学校内での木の植え込みも実にうまく使用されている。
女の子達の心の流れとともに景色や音楽、登場人物への印象もどんどんと変わっていく。


ノリがよく面白い3枚目のジョージア
繊細で傷つきやすく突っ走りすぎる少女のジョージア
場面ごとに女らしくなっていく服装と髪型。
自分ひとりからまわりのことへと移り変わっていく視点。
きっと多くの人が10代の頃に体験してきたであろう甘酸っぱい雰囲気の青春時代という時間。
少女が大人へと変わっていく様がおもしろおかしくそして美しく描かれている。


この映画を見ての私の感想は「うらやましい!!!」であった。
甘酸っぱい10代など私にはなく、むしろ先日読んだばかりの「太陽の塔」や「四畳半神話体系」などの森見ワールドの主人公の方が実体験にはよほど近い。
キスシーンも多く登場する。親友のジャスとトムのキスシーンにはなぜか見惚れてしまうのだった。
妙に色っぽい。
この映画を観た後、強烈にいちゃつきたくなった。
いちゃつく相手が横にいないことが非常に寂しく感じられるのであった。
人恋しくなる甘酸っぱい恋愛映画だ。
人恋しくなって少し腹立たしいのだけれども、ジョージアの成長ぶりが微笑ましくて眩しい。


甘酸っぱい雰囲気が苦手な人でもひとりの女の子が恋愛をとおして素敵に変わっていく姿を観に行って欲しいなあと思う。
まさしく「ゆううつでキラキラな毎日」が拡がっていた。


そしてその映画を観て帰宅後、人恋しさから抜けた自分は「大人の女」としての危機感を感じてしまったのでした。